子どもの輝く個性を伸ばそう!発達障がいの強みを活かす方法
目次
よくある心配と解決方法
子どもの個性を伸ばす過程では、親としていくつかの心配や不安を感じることもあります。ここでは、よくある心配に対する解決方法について取り上げ、それぞれの問題にどう向き合い、対応していくべきかを考えていきます。
「偏った成長にならない?」という不安への対応
子どもの個性を伸ばすことに集中していると、「他の部分が疎かになり、バランスの取れた成長ができなくなるのでは?」という不安が生まれることがあります。しかし、すべての子どもが同じようにバランスよく成長するわけではなく、強みや得意分野に特化することも自然な成長過程の一部です。大切なのは、子どもが自信を持てる分野をしっかりと育てながら、他の部分も無理なくサポートすることです。親としては、得意分野を伸ばしつつ、少しずつ他の部分にも取り組ませるように、柔軟なアプローチを心がけると良いでしょう。
苦手な部分をどうケアするか
個性を伸ばす一方で、子どもが苦手とする部分への対応も重要です。苦手な部分を無理に克服させようとすると、子どもにとって大きなストレスとなり、逆効果になることもあります。まずは、子どもが何に苦手意識を持っているのかを理解し、それに応じたサポートを考えることが大切です。苦手な分野に対しては、楽しさや成功体験を感じさせるような方法で取り組むことが効果的です。また、専門家のアドバイスを活用し、子どものペースに合わせて適切なサポートを提供することで、無理なく成長を促すことができます。
他の子と比べてしまう気持ちへの対処法
親として、他の子どもと自分の子どもを比べてしまうことはよくあることですが、これがプレッシャーとなる場合もあります。発達の速度や得意分野は子どもによって異なるため、他の子どもと比べることはあまり意味がありません。重要なのは、わが子の成長をその子自身のペースで見守り、強みを見つけて伸ばしていくことです。比較をする代わりに、日々の小さな進歩や成果に注目し、子どもを励まし、喜びを共有することで、親子関係をより健全なものにすることができます。
臨床心理士からのアドバイス
発達障がいの子どもの個性を伸ばすことについて、臨床心理士からのコメントです。発達心理学、認知心理学などの知見をはじめ、児童発達支援事業などでの実務経験や機関連携の経験をもとにしたアドバイスです。
臨床心理士による見解
そもそもなぜ、発達障がいの子どもの個性を伸ばす必要があるのでしょうか?その大きな目的に、子どもの発達障がいから派生した「ニ次障がい」を避ける必要があるからだと、私は考えています。
「ニ次障がい」は、発達障がいの症状や特性を否定される、理解されずに育つなどして引き起こされる、子どもの自己肯定感の低下や抑うつ状態などの悪影響のことを言います。
子どもが周りから理解されない、馴染めないと言う思いは不適応行動になって現れることもあるため、保護者や支援者は、子どもの傷つきをよそに、悪い行動を叱責して収めてしまいがちです。そうなると、理解されない→心身の調子を崩す→余計に叱責される、という悪循環に陥ってしまう可能性があります。
自分にも誇れる個性があるのだ、と子どもを伸ばす支援をすることは、単に発達の支援をする以上の、子どもの心の健康と長期的な育ちにとって重要なのです。
個性を伸ばす支援の最新トレンド
最近では、発達障がい児の個性を伸ばす支援も多様化しています。
例えば、放課後デイサービスなどで、リトミックや英語、プログラミングを活用し内容に取り入れた事業所も増えています。
また、発達を促進する専門的なプログラムもあります。たとえばコグトレというプログラムでは、点つなぎや間違い探しなど、子どもが遊びのように楽しめるワークを通して認知機能を高めます。
発達障がいの子どもは、文字や図形を認識したり、必要な箇所に注意を向けるのが苦手な場合もありますが、こうした認知トレーニングをすることで、子どもの特性をカバーできる可能性があります。いかにも訓練という形で行なってしまうと、子どもは余計に苦手なことを自覚してしまい、自信ややる気を失ってしまいますが、遊びながら行うとその心配がありません。
モンテッソーリ教育も最近再注目されています。
モンテッソーリ教育は、古くからある発達障がい児へのアプローチ方法です。子どもの興味や発達段階を、支援者側が正しく見立て、その子どもが触ってみたい、やってみたいと思えるであろう玩具や教材を配置して、子どもが自分から教材に取り組んでいきます。大人が正解を教え込むのではないため、子どもは遊びがうまくいかなくても、失敗経験になりにくいです。また子どもがやりたいと思うものに取り組めるため、子どもの個性を伸ばしやすいでしょう。
まとめ
発達障がいを持つ子どもたちには、その特性を個性として捉え、強みを伸ばすことが重要です。集中力やユニークな発想力、正直さなど、発達障がいの子どもたちに見られる素晴らしい特徴を活かすことで、自己肯定感や社会適応力が向上し、将来の進路や就労にも良い影響を与えることができます。親としては、日常生活での観察や周囲の協力を通じて、わが子の「すごい」を見つけ、それを伸ばすために適切なサポートを提供することが大切です。
また、成長が偏ることへの不安や苦手分野への対応など、よくある心配にも柔軟に対処し、わが子のペースで成長を見守る姿勢が求められます。個性を尊重し、長所を伸ばしていくことで、子どもたちが自信を持ち、豊かな未来を切り開いていけるよう、私たち大人が寄り添うことが大切です。